天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
リンネはまた、クスッと笑った。

「何がおかしい?」

ソリッドは、リンネのどこか馬鹿にしたような顔に、堪らずきいた。

リンネは腕を組み、

「おかしい?そうね…あたしが思うのは、サイキッカーっであっても、ノーマル人だとしても、同じ人間じゃないの?」

と自分で言ってから、リンネは苦笑し、

「そうね。そう言ってしまったら、あなた達の存在意味がなくなるのよね。あたしが認識している人間は、異国の人間でも結婚し、その間には子供ができたら…自分の一族として扱うと思っていたから」

リンネの言葉は、もっともだった。

しかし、ソリッドは唇を噛み締め、

「超能力を使えない者など、アステカ王国の人間ではないわ」

と言い放った。

その言葉を聞いて、リンネは頷いた。

「そうね。そうかもしれないわね」

そうねを繰り返す自分に、リンネは心の中で、苦笑した。

(あたしが気を遣うなんてね…。それにしても、やはり…この男も、人間だわ)

魔物であるリンネには、差別と言う意識はない。

魔物は、容姿ではなく、強さで決まる。

弱ければ、従うだけだ。

(人は、愚か)

リンネの脳裏に、沙知絵の顔が浮かぶ。

(だけど…時折見せる愛の為の自己犠牲)

赤星を守る為、魔王レイに立ち向かうフレア。


(沙知絵…フレア。あなた達をそんなにも、狂わした愛とは何?)

リンネは、目の前にいるソリッドを凝視した。

自分とカルマもと言ったソリッドの心の底にあるものも、愛だろう。


「炎の騎士団長リンネ!赤の王を捕らえし時は、是非魔王ライに直接お会いしたい!」

ぎらぎらと目を光らすソリッドに、リンネは頷いた。

「わかったわ。赤星浩一を拘束した暁には、魔王ライに進言してみましょう」


「有難い」

嬉しそうに、頷くソリッドを、リンネは心の中で、冷ややかに見つめ続けた。

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