天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ジャスティン!!」

ジェーンは立ち上がると、ジャスティンにすがり付いてきた。

「…」

一瞬目を瞑り、顔を背けそうになったジャスティンは…意を決して、その場から消えた。

「テレポート…」

掴んでいたジャスティンの上着の感触が消えた。



「ジェーン…」

少し距離を取り、真後ろに現れたジャスティンはジェーンの背中を見つめ、

「俺が知った頃の君が、オリジナルの体だったかは、わからないが…」

ジェーンは振り返った。

「俺にとっての君は、あの姿の君だ」

きっぱりと言い切ったジャスティンに、ジェーンの瞳から…これまでで一番の大粒の涙が流れた。


「君は…」

ジャスティンは、その涙に心が揺らいだが、

決定的な真実を突き付けた。

「劣化したコピーだ。ジェーンと記憶と、人格をコピーしただけの…」
「いや!」

その言葉を遮るように、ジェーンの手から、サイコキネッシスが放たれた。


部屋にあった玉座が、一瞬で塵になった。


「人形だ」

ジャスティンは、再びジェーンの後ろに現れた。

ジェーンはすぐに振り返ると、再びサイコキネッシスを放つが、ジャスティンには当たらない。

腕を組んで、様子を見守っているアルテミアの真横の壁に、すり鉢状の穴があいた。

「あたしは!あたしよ!」

ジェーンが叫ぶ度に、壁に穴があいていく。

だが、ジャスティンに当たることはない。

「念動力は、万能ではない。魔力のように、具体的な色がないだけだ」

ジャスティンは、サイコキネッシスを避けながら、

「放つ対象と、狙う的さえわかれば、避けること容易だ!」

姿が消えた。

「その的とは…俺。君が狙っているのは、俺だけだ」

ジェーンの耳元で、ジャスティンの声がした。

「いやああ!」

ジェーンは振り向き、ジャスティンに手のひらを向けた。

今度は、ジャスティンは消えない。

「あたしは!あたしよ!」

サイコキネッシスが放たれた…はずだった。

玉座の間に、変化は起きなかった。

無防備なジャスティンも、ダメージを受けていない。

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