天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
だが、ソリッドは迷うことなく、最後の力を振り絞って、カルマのそばまで歩いていった。

「カルマ…」

そして、前のめりに倒れると、手を伸ばし、カルマの手に触れた。

「お前だけでも…」

その瞬間、カルマの体が消えた。

ソリッドは、カルマの体をテレポートさせたのだ。



「下らん」

その様子をじっと見ていたライは、倒れているソリッドに近づいた。

安堵の表情を浮かべ、絶命したソリッドの顔を見て、ライは無表情となり、



その顔を踏み潰した。

「どうせ…ここから、逃げたところで…この星にいる人類は、皆殺しにする。我の力でな」



「そんなことはさせない!」

「うん?」

後ろから声がして、ライは振り返った。

ジェーンが左手を、ライに向けていた。

右腕は肩に矢が貫いている為、どうやら動かないようだ。

「この世界は、あなたの思うようには、ならない」

「なぜだ?」

震えながらも、気丈にも戦おうとするジェーンに、ライはきいた。

ジェーンは、ライを睨みながら、

「人は、負けない!絶対に、滅んだりしない」


「フン」

ライは、鼻で笑った。

「今の人は滅ぼすが…我が、新しく人間をつくってやるから、心配するな。王女よ」

「ひ、人をつくる?」

「そうだ!魔物達の退屈しのぎとして、人は必要だからな!」

「ふざけないで!」

ジェーンの叫びに、

ライは初めて、表情らしい表情を見せた。

それは、悲しい瞳。

「我がつくった…人形ならば…もう悩むことはない。嘆くことはない。何度でも、再生できる!」




「ひ、人はおもちゃじゃない!」

ジェーンの手から放たれたサイコキネッシスを、ライは睨むだけでかき消した。

「今の人はな。これからは、おもちゃになる」

ライは笑った。

その瞬間、突き刺さっていた矢が爆発し、ジェーンの右腕が消し飛んだ。


ジェーンはそれでも、気丈にも笑顔をつくった。

「あなたの思い通りには、ならない!この世界には、こうちゃんがいるから!」


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