天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「乙女ソルジャー…」



ぶつかり合う二つの影は、まごうことない乙女ソルジャーだった。

乙女ブラックと、もう1人。



「とどめよ」

空中で、撃墜された乙女ブラックは、地面を転がり、

戦闘服が消え、もとの姿に戻った。




「蘭花!?」

変身が解けたブラックを、九鬼はもとの世界の知り合いに、似てるように思えた。


「そんな…」

立ち上がった乙女ブラックだった女は、黄金に輝く戦士を見て、震え上がった。


「…さようなら」

黄金に輝く戦士の戦闘服が消えると、

かつての…防衛軍の士官の制服を着た女になった。

「最後笑うのは、あたし」

「い、いやあ!」

制服を着た女の爪が伸び、

逃げようとした女の背中から胸までを、貫通した。


「そ、そんな…」

正確に、心臓を射抜いた爪はすぐに、もとの長さに戻った。

貫かれた蘭花に似た女は、生き絶える前に、

最後の抵抗を見せた。


手に持っていた物を、ジャングルの茂みに向かって投げたのだ。


それは偶然か…必然か…


九鬼の足元に転がった。


「こ、これは!?」

九鬼が見た物は、さっきまで自分が持っていた物に酷似していた。



「乙女ケース!?」

黒い眼鏡ケースを、反射的に拾おうと、木の影から手を伸ばした九鬼の上に、

黒い影が覆い被さった。


「勝手に、触らないでくれる?」

制服を着た女が、いつのまにか…九鬼の目の前にいた。

「これは、あたしのものよ」

冷たい氷のような瞳を向ける女に、

九鬼は…人ではない力を感じた。

咄嗟に乙女ケースを掴んだ九鬼は、後ろにジャンプし、間合いを取った。


「それとも…何かしら?」

女はゆっくりと、顔を九鬼に向け、

微笑んだ。

「あなたも参加するつもり?このバトルに」

「バトル?」

「死ぬ覚悟があるならね」

女の姿が変わった。




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