天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「変身したところで!勝てるか!」

デーテは自らの爪を舌で舐めると、ゆっくりとブラックに向けた。


「考えろ!今できること以上のことを!」

ブラックは構えながら、デーテを観察した。

「考えろ!やつに、勝つ為に!」



「無駄な足掻きを!」

デーテは、爪をブラックに向けたまま、突進してきた。

「大人しく!貴様も脳味噌を食われて、我の一部になれ!」

「考えろ!」

ブラックの眼鏡のレンズに、デーテの顔が映る。

「!」

ブラックは気づいた。

先程、手刀でつけた傷がもう消えていることに!

(そうか!傷は消えている!しかし、傷をつけることができた!)

ブラックは、足に力を込めた。

(その意味は!)

迫り来るデーテを睨み付け、ブラックはタイミングをはかる。

「ハハハ!そうだ!今度は、貴様の体に寄生しょう!この体よりは、強力なようだからな!」

デーテの突きだした爪を、ギリギリでジャンプして避けると、

ブラックは蹴りを放った。

「ルナティックキック!」


「ハハハ!効かぬのが、わからんのか!」

余裕で笑うデーテの額に、ブラックの爪先がつく。

そして!

「何!?」

デーテは絶句した。

額の上で、爪先を支点にして、ブラックは回転しだしたのだ。

(ムーンエナジーを、爪先へ)

回転するブラックを包むムーンエナジーが、渦となって爪先に集束される。

「き、貴様!」

デーテの額からヒビが走り、

「乙女スピン!」

ドリルと化したブラックは、額を突き抜き、デーテの頭を貫いた。

「ぐげぅ!」

デーテの頭が爆発し、ピンクの脳髄が空中に飛び散った。

「別名…ルナティックキック…3式」

デーテの後ろに着地したブラックは、そのまま回し蹴りをデーテの脇腹に叩き込んだ。

倒れるデーテ。

「ま、待て!」

額から上が飛び散り、脳味噌を露にしたデーテが、上半身を上げ、懇願するようにブラックを見上げた。

ブラックはゆっくりと、デーテに歩み寄っていく。眼鏡が逆光の為に、表情がわからない。

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