天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「これくらいの蹴りで、倒せると思ったか!」

リオが腕を振り抜くと、ふっ飛んだ九鬼の体が、

宙に舞ったと思った。



が、


違った。

九鬼は空中で、自ら回転すると、

振り抜いた為に、がら空きになった…リオの胸に向かって、第二撃を叩き込んだ。

「ルナティックキック零式!」

決まる瞬間、足を突きだす蹴りが、

リオの胸元に炸裂した。


「!?」



もう一度、背面飛びの形で回転し、後ろに着地した九鬼は、

リオの様子を見て、冷静に構え直した。

右手を前に突きだし、指でリオを挑発する。





「ククク…」

嬉しそうに含み笑いを漏らしたリオは、

「ハハハハハハハハ!」

やがて、高笑いとともに、胸を張った。



「乙女ダイヤモンドは、最強の戦士!その体は、あらゆる攻撃を跳ね返す!」

拳を九鬼に向けて、逆に突きだすと、

リオは大袈裟に、一歩前に踏み出した。


「たかが、乙女ソルジャーの攻撃に怯むか!」

リオの言葉に、

「きゃあ!お姉様!素敵」

梨絵が歓喜の声を上げた。

「だから!お前に、勝てる見込みはない!」

リオがもう一度、九鬼に凄もうとした時には、


九鬼の姿はなかった。



「!?」

リオが気づいた時には、目の前で手を付き、

逆立ちの体勢でいる九鬼がいた。

「ルナティックキック二式かあ!」

リオは笑った。

「貴様の技は、知り尽くしている!」

リオは、背中を反らした。

「テレビで、自分の技を披露し過ぎだ!」


下から、顎先を突き上げる…ルナティックキック二式を、余裕で避けようとした。

九鬼は無言で片足だけを突きだし、リオの鳩尾に添えるように置くと、両腕を伸ばしジャンプすると、リオの両肩に手で掴み…そのまま背中から倒れるように半転した。

「何!?」


巴投げのような形になり、リオは投げられると、

頭からコンクリートの床に激突した。


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