天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
カルマは、日本の着物に似た服を来ていた。

いや、忍者装束に近い。

その帯に差し込んでいたものを抜き取ると、

カルマはそれを握り締め、遺跡の壁に叩きつけた。


その瞬間、

決して傷がつくことのない壁に、傷が走った。

カルマは傷を確認すると、手の平を開け、

その中にあるものを見つめた。

それは、ピンクの眼鏡ケースだった。



「やはり…ここの材質と同じ」

カルマはその事実を確認する為に、遺跡に来たのだ。


「これは…一体?」

カルマは、眼鏡ケースを見つめた。

何度か力ずくで、開けようとしたが、開けることはできなかった。



アステカ王国が崩壊した日。

カルマは王国から遠く離れた無人島に、テレポートさせられた。

目覚めた時、カルマは砂浜に仰向けに倒れていた。

気が付き、目を開けた時…上空に月が輝いていた。

そして、

なぜか…

その手には、眼鏡ケースが握られていた。





カルマは、眼鏡ケースを握り締めると、もう一度遺跡に叩きつけようとした。


「やめてくれないかな?」

突然、後ろから声がした。

カルマは振り返るより速く、左手を突きだし、サイコキネッシスを放った。

遺跡の前に広がるジャングルの木々が、数本根元から引きちぎられた。

「チッ」

舌打ちしたカルマの右腕を、誰かが掴んだ。

「これは、乙女ケース。月の女神が作ったといわれる神器だ」


「ジャスティン・ゲイ!」

カルマは力任せに、ジャスティンの手を振りほどくと、

再びサイコキネッシスを放とうとした。

しかし、ジャスティンの動きは速く、

射程距離内から離れていた。

「ここの遺跡を傷つけるのは、やめてくれないか?1つでもなくなると、どうなるかわからないからな」

ジャスティンは、カルマに微笑んだ。

カルマはジャスティンを睨み付け、

「ジャスティン・ゲイ!なぜここにいる!」

「さあ〜どうしてかな?」

すっ惚けるジャスティンに、カルマはキレた。

「よくも、おめおめと私の前に、姿を現したな!ジェーン様を見棄てたお前を、私は許しはしない」
< 1,404 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop