天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「!?」

その2つの異常な魔力に、カルマの顔色が変わった。

決して、上を向くことなく、震えながら、

テレポートした。



「逃げたが…どうする?」

3メートル近くある巨体が音もたてずに着地すると、

同じ隣に着地した女にきいた。

「捨て置け。今は、雑魚に構ってる場合ではない」

女はじっと、ジャスティンを見つめていた。

「しかし…あやつが持っていたものは…」

巨体の男は何か言おうとしたが、無駄であることを悟り、口をつむんだ。


ジャスティンはその2人のやり取りを見て、口元を緩めた。

「久しぶりだな。ギラ…そして、サラ」


「フン」

サラは鼻を鳴らすと、ジャスティンの体を見つめながら、目を細めた。

二本の角を生やしたサラと、一本の太い角を生やしたギラ。

翼ある魔物を率いる…天空の騎士団長である。


「元気そうで何よりだ」

ジャスティンの言葉に、サラは笑った。

「貴様の方こそ、魔王の攻撃を受けて…生きているとはな」


「人間にしておくのが、惜しいな」

ギラも、クククと喉を鳴らした。



そんな会話を交わした後、ジャスティンは構えた。

ブーメランと、ブラックカードを手にして。


そんなジャスティンを見て、サラは視線を外すと、そばにある遺跡を見上げた。

「!?」

殺気のないサラに、ジャスティンは眉を寄せた。

「まあ〜急かすな」

ギラが、戦闘態勢に入ったジャスティンをなだめた。


「どういう意味だ?」

ジャスティンは気を張りながら、ギラにきいた。


騎士団長が2人だ。一瞬でも、油断したら…死ぬ。


構えを解かないジャスティンを見ずに、サラは言った。


「見くびられたものだな」

「!?」

ジャスティンは、ギラを見た。

ギラは頷いた。

サラは、遺跡についた傷を見つめながら、

「手負いの貴様を…騎士団長が2人がかりで、相手などするか!」

少し怒気がこもった声が、辺りを震わせた。

どうやら、サラのプライドを傷つけたようだ。
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