天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「人間に、利用などさせるか!そのかたは、我らの王の血筋」

「いや、違うな!2人の勇者の血筋だ!」

ジャスティンはギラの言葉を否定すると、さらに前に出た。

2人の体がぶつかると思われた瞬間、


サラの腕が間に割って入った。

「今日は、やる気がない。そう言ったはずだ」

サラはジャスティンを見、そしてギラに視線を向け、

「我ら騎士団長に、二言はない」



サラの剣幕に、ギラは思わず後退り、

頭をかいた。

「と、当然だ!」

妙に胸を張るギラを無視して、

サラはジャスティンと向き合った。

「この件は、互いに相いれることはできないだろう。しかし、我らは譲る気がない」

サラはそう言うと、ジャスティンに背を向けた。

「しかし…」

サラは歩き出しても、言葉を止めなかった。


「今の魔王より…そのかたの方が、人間にも都合がいいのではないか?」

「何?」

ジャスティンは眉を寄せた。


サラはフッと笑うと、

「魔王ライが復活なさったら…必ず、人間を滅ぼすぞ」

「!?」

驚くジャスティンが、聞き返す前に、

サラはテレポートした。


「じゃあな」

ギラもすぐに、テレポートした。

「チッ!」

ジャスティンは舌打ちした。

すぐに、言い返すことのできなかった自分に対して…。
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