天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「だけど!!そうはならない」

リンネの感情の高ぶりが、視線の先にある…向日葵を燃やした。

「互いを思うが故に、2人はぶつかり…戦う」


リンネの脳裏に、未来が映る。


シャイニングソードを構える赤星浩一と、

その前に、立つアルテミアの姿が。



「2人の戦いで、どちらが勝とうが、それが導く結果は同じ。我が魔王軍の勝利。そして、今度こそ…ライ様によって、すべてを統治する世界が始まる!」

手摺を握り潰す程、興奮したリンネは、

突然、

目を見開いた。


(そうかしら?御姉様)


リンネの眼力で、燃えている向日葵畑の炎の中に、


フレアが立っていた。


「フレア!」

リンネの声に、ユウリとアイリは顔を見合わせた。


炎の中にいたフレアは、リンネに微笑みかけると、


そのまま消えた。


と同時に、向日葵畑の炎も鎮火した。



リンネは、フレアが立っていた灰と化した部分を見つめながら、

わなわなと震えだした。


「あんたと…いう子は、どこまでお人好しなの!」


フレアの愛する赤星浩一は、決して、彼女に振り向かない。


なのに、命をかけ、

命を失っても、尽くす妹を、

リンネは哀れと思った。


だけど、

フレアは哀れだと、思っていない。


それも、わかっていた。


だから、


だからこそ…。



「いずれ…殺さなければならない」

リンネは手摺から離れ、向日葵畑に背を向けた。

「赤星浩一を!あたしの手で」



歩きだしたリンネの邪魔にならないように、

ユウリとアイリは道を開けた。

そして、互いに目で頷きあうと、

リンネの後ろについて歩きだした。
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