天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「真弓!あんたが!」

「理香子!」

九鬼に向かって走る理香子。

「装着!」

乙女ケースを突きだし、乙女プラチナに変身した理香子。


「あたしの話を聞いて!あたしは!」

「問答無用!」

理香子はジャンプし、空中で身を捻ると…回し蹴りを放った。

九鬼も回し蹴りで受け止めた。


「許さない!」

理香子の目から、涙が流れた。




「どうされましたか?」

大月学園の屋上の手摺の前で、佇む理香子に、

兜が後ろから近づきながらきいた。

無表情だった理香子の顔が、変わった。

眉を寄せ、横に来た兜を睨んだ。

「フッ…。そんなに恐い顔をしないでくれよ。少ない…同じ世界から来た仲間じゃないか」

兜の言葉に、

「同じ世界…」

理香子は下唇を噛み締めると、

兜を見ないように手摺から離れた。


屋上から、理香子が消えるまで、

兜は振り返ることはなかった。


「愛故に…時空をこえてまで、親友を殺しに来た…か」

兜は、悲しげに笑った。




理香子は階段を降りながら、

過去を思い出していた。


本当は…思い出さないようにしている…幸せな日々。


月影になる前…、

普通の女の子だった…頃を。
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