天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「しばらく活動休止してたけど…脚本ができたから、また稽古が、始まるんだ。昼休みに、部長から言われたから」


中島の説明をきいて、あたしは…嬉しくてたまらなくなった。


嫌われていいなんて、嘘だ。


あたしは……好きになってほしかったんだ。





「俺のこと……やっぱり嫌いなの?」

中島の質問に、あたしはそっぽを向き、

「それは、否定する」




「じゃあ……好き?」




雨が止んだ。

あたしは、傘を閉じると、中島の方に笑顔を向け、



あかんべを出した。


「今日は、言わない!」

と言って、あたしは駆け出した。

あまのじゃくな性格は、治らない。


それに、幸せをいっぺんに使いたくなかったのだ。


雨で濡れた歩道を走りながら、あたしは空を見た。


「やっぱり、晴れがいい!」

立ち止まり、大きく背伸びをして、振り向くと、


小さくなった中島に、あたしは言った。



「大好き!」







そんな幸せな日々を奪ったのが…、

親友の九鬼だなんて。


あたしの気持ちをわかっていたはずなのに…。




あの日。

あの日も、

雨だった。



乙女ガーディアンとなり、

闇と戦うことになったあたしの目の前で、

中島は殺された。


乙女ブラック…九鬼真弓に。


「中島!」


「相原…」

乙女ブラックのパンチが、中島の胸を貫いていた。


確かに、中島は…真獣因子に目覚めたかもしれない。

だけど、

あたしは、中島を殺す為に、乙女ガーディアンになったんじゃない。

むしろ…中島を守る為に。


あたしは、階段を降りながら、改めて誓っていた。


九鬼真弓を殺すことを。
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