天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「嫌われたものだな…」

理香子が去った後、屋上でしばらく煙草をふかしていた兜はため息とともに、火を消した。


「まあ…構わんよ」

空に浮かんだ月を見上げると、

「君の存在と月があれば…それでいい」

フッと笑った。

そして、消した煙草を携帯用灰皿にねじ込むと、兜は歩き出した。

「この世界で、気に入ったのは…煙草の味くらいか」

さっきのが、最後の一本だった。

空になったケースを握り潰した。

「この世界に未練などない!あるとすれば…」

そして、屋上の鉄の扉を開け、

「懺悔だけだ!」

夜の階段を駆け降りた。



「今から、最終チェックを行う!」

兜の口に、笑みが張り付いていく。

「月下作戦発動の時は、近い!」




その頃…大月学園のグラウンドの端にあるプールの下で、

巨大な何かが蠢いた。


それは、生物ではなかったが、

すすり泣き…嗚咽していた。

その声に気づく者はいないのに。
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