天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「いくぞ…」

アルテミアは兵士を見ることなく、一歩前に出ると、回転する二つの物体が、どこからか飛んできた。

それを掴むと、二つを合体させ…一本の槍とした。

「A Blow Of Goddess…」

槍を脇に挟むと、アルテミアは腰を屈めた。

女神の一撃。

それは、戦いの始まりを告げた。



数ヶ月後、アルテミアは敗北する。

(赤星…)

最後の力を使い、人間を集めた島を封印すると、アルテミアはそのまま…息絶えた。

「おいたわしや」

そんなアルテミアに近付き、彼女の亡骸を葬ったのは、カイオウだった。



赤星が死に、アルテミアが亡くなった時間枠とは別の世界。

三百年かけ、赤星の魂を戻したアルテミアは、再び時の中を歩んでいた。

しかし、その時の中でも、アルテミアは彼を失っていた。

(あたしは、弱い)

アルテミアに、終わった時の記憶はない。

だけど…どちらのアルテミアも抱いている思いはいっしょであった。

喪失感。

そして、無力感。

だからこそ、彼女は動く。

後悔のないように。


阿藤美亜と名乗りながら、彼女が求めるのは、強さ。

そして、最終的には…彼である。

(例え…今のあたしを、お前が否定しょうと…)

アルテミアは廊下を歩きながら、前を睨んだ。

(あたしを否定するお前がいる世界がいい)

アルテミアは歩みを止めない。

目的を遂げるまで。




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