天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「うおおおっ!」

アルテミアの咆哮が、周囲の空間を震わせた。

彼女の周りには、何百というゾンビの群れが迫っていた。

ここは…現在使われていない地下街の廃墟。そして、ゾンビの巣と化していた。

「フン」

鼻を鳴らすと、アルテミアの鎧が、赤く燃え上がった。

両手に持つトンファーを合体させると、アルテミアはブーメランのように、ゾンビの群れに投げつけた。

炎を纏ったブーメランは、次々にゾンビを薙ぎ倒し、やつらの体を燃やし尽くす。



「上位進化!」

ブーメランの軌道を確認せずに、アルテミアが虚空を睨みながら叫んだ。

「え!?」

僕は慌てる。

そんなに、HPがあったかな。

「多分…足りないと…」

恐る恐る告げる僕に、

「足りなきゃー死ね!」

アルテミアは一喝すると、両手を広げた。

すると、アルテミアの足下から風が渦を巻き、全身を包んだ。

すると、竜巻のように、舞い上がり、地下鉄の天井を突き破ると、地上から、空へ舞い上がり、大空に、白い翼を広げた。

その姿は、まさに天使だった。

ブロンドの髪を靡かせ、自ら突き抜けた穴に向かって、両手を突き出す。


「あのお…何をなさるんですか…」

「黙っとけ!どうせ、ゴーストタウンだ!」

アルテミアの手のひらから、巨大な火の玉が放たれ…地下道どころか…眼下に広がる町が、消し飛ぶ。

地面をすり鉢状に抉れ、さらに地下からマグマが噴き出した。

一瞬にして、辺り一面は火の海に化した。


< 2 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop