天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「はい」

白いマントに、赤い十字架を描いた…修道士のような紺の制服に身を包んだ…2人の少年は頷くと、風より早く動き、ダラスの左右を通り過ぎていった。

ダラスがいる道の向こうは、街の外…砂漠につながっているはずだ。

照りつける日差しが、陽炎のように、ゆっくりと街の中を歩いてくる女を揺らめかせる。

「女…」

遠くからでもわかる長い髪と、くびれた肢体が…女であることを示していた。

女に気づいて、人面鳥の群が襲いかかる。

が、女の間合いに入る前に、次々に切り刻まれ、死んでいく。

女は、何もしていない。

ただ歩いているだけだ。

ダラスは、近づいてくる女の姿が確認できるようになって、やっと女の周りのおかしさに気付いた。

「何が…飛んでいる」

姿は見えないが、それが回転を止め、女の両手におさまった時、

ダラスは気付いた。

「トンファー…」

それだけではない。

美しいブロンドに、砂漠を渡ってきたはずなのに、まったく焼けてやく…透き通るような白い肌に、

真珠のような白い鎧。

「ホワイト…ナイト」

ダラスは知っていた…いや、知らない者などいない。魔物と戦う者なら、誰もが知り、憧れる戦士。

「ティアナ・アートウッド」
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