天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ぎりぎりだった」

サーシャは、前方を睨みながら、息を整えた。

判断が一瞬遅れていたら、下敷きになっていた。

「何があった?」

銃を構えた警備隊の1人が、サーシャの前に回った。

「答えろ!」

サーシャに銃口を向けた。

「どけ!」

サーシャは叫んだが、遅かった。

ビルの中から、瓦礫を突き破って、細長いものが飛んできた。警備隊の背中から突き抜け、サーシャを狙う。

サーシャはブリッジするように、後ろに体をそらし、飛んできたものをよけた。

上を通った瞬間、反転し、通り過ぎようとするものを、起き上がりながら、それの一番端を掴んだ。

(槍!?)

その槍にも、見覚えがあった。


「大分、修行したようだな…」

ビルの内側から、もの凄い物を砕く音がしたと思ったら、ビルの側面が吹っ飛び、瓦礫と埃を物ともしないで、1人の男が現れた。

ビルはぐらついたが、まだ崩れてはいない。

「貴様か!」

警備隊が、出てきた男を取り囲んだ。

「何者だ」

いつでも、発砲できるようにしながら、一歩前に出た隊長らしきものに、

男は笑いかけると、軽く会釈する。

その反応に、結構拍子抜けをした隊長に、男は見えないように、ニヤリと笑うと、

一気に隊長との距離を縮め、

隊長の首筋に噛みついた。
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