天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
男の目が赤く光り、チュウチュウと音を立てて、隊長の血を吸っている。

「うわあああ」

驚いた警備隊は、一斉に血を吸う男に、銃を連射した。

しかし、鉛の玉を喰らっても、男は吸うのをやめない。

銃の玉がなくなると、男が干涸びた隊長を離すのは、同時だった。

「召還」

銃が効かないと判断した警備隊は、銃を捨て、剣を召還した。

切りかかるではなく、突き刺そうと、突きの構えで、四方から攻撃する。

男はカードを取り出し、

「ターン」

と呟くと、サーシャの手の中にあった槍が、物凄い力で、男のもとに戻ろうとする。

あまり抵抗すると、手が切れると判断したサーシャの脳が離すことを命令すると、もうスピードで、男の手に戻っていく。

槍を掴んだ男が、槍を振るうと、血吹雪が上がった。

崩れ落ちる警備隊には見向きもせず、男はサーシャを睨んでいた。

「轟隊長…」

サーシャは、ただ轟を見つめていた。

他のブラックサイエスの隊員と違い、轟はまったく変わっていなかった。

角刈りの頭に、つり上がった鋭い眼光。ドラゴンの逆鱗だけで作った黄金の鎧。

しかし、体から漏れるものは、気ではなく、魔力。

「洗礼を受けたのは…隊長、あなただったのですね」
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