天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「安定者…」

僕は、その言葉を知らなかった。

「そう」

ロバートは頷き、

「魔物から、人間を守る為に、存在する防衛軍の最高機関」

ロバートは、僕に近づいてきた。

「あなたは…」

僕の勘が、感じた違和感を危険だと告げた。

「ロバートさんじゃない」

僕は落ちたチェンジ・ザ・ハートを掴むと、トンファータイプのまま装着した。

「勘は鋭いな」

感心したように言うロバートに、僕はチェンジ・ザ・ハートを構えた。

「だが…矛盾しているな。さっきは、嘆いた人間に対して、武器を向けるとはな」

「何!」

絶句する僕に、手を突き出したまま、僕にゆっくりと近づいてくる。

「それも…チェンジ・ザ・ハートとはな」

ロバートは、チェンジ・ザ・ハートを見つめ、小さく呟いた。

「死んでもなお…我々の前に、立ちはだかるのか…先輩」



「赤星!あたしと変われ!」

突然、アルテミアが叫んだ。その声には、怒りがこもっていた。

僕は頷き、左手を突き出した。

「待ち給え」

ロバートは、差し出していた手で、僕を制した。

「この体では、君達とは戦えない…レベルが違いすぎる。それに…」

ロバートは自らの手を見、

「バカなやつだ。女の為に…」

「あんたは…一体」

ロバートは改めて、僕を見据えると、

「我が名は、クラーク・パーカー。安定者の1人だ」

「クラーク・パーカー!お前か」 

アルテミアが叫んだ。

ロバートは微笑むと、

「今日は、部下の体を借りたが…今度は、きちんとした姿でいずれ、また会おう」

そう言うと、ロバートは糸の切れたあやつり人形のように、その場で崩れ落ちた。

「ロバートさん!」


僕は、ロバートに駆け寄り、抱き上げた。

「うう」

ロバートは意識を失っていた。

「安定者…」

この世界は、魔物だけじゃない。

「安定者…あいつら!やっとでてきやがったな」

アルテミアの声は震えていた。

興奮するアルテミアと、戸惑っている僕は、ロバートの左手に気付かなかった。

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