天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
僕の真剣な瞳に、ロバートの銃口から揺れる。

「それに、もし…アルテミアが、あなた方の敵に、なるようなことがありましたら…」

僕は、ロバートから視線を外し、アルテミアの左手の薬指に、指輪をはめた。

「そうか…」

無防備な僕から、ロバートは銃を下げ、地面を見つめた。

「そうか」

もう一度、呟くと、ロバートは僕らから背を向けて、歩きだした。

「長老達の予測を超えた存在…それが、君かもな」

僕から離れていくロバートの背中に、僕はきいた。

「長老とは、何ですか?」

ロバートは足を止めず、遠退きながら、話しだした。

「安定者。人類を統率する機関だ。アルテミアの母、ティアナもかつて、所属していた」

「安定者?」

「そこにいけば…」

ロバートは、足を止め、横顔を僕に向けた。

「君は、人の醜さを知るだろう」

ロバートは、カードを僕に向けた。

僕のカードに、着信音があった。

「地図を送った。行きたければ…行けばいい」

再び歩きだしたロバートの背中は、何とも言えない淋しさと、悲愴感が漂っていた。 

僕には、もうロバートに、声をかけることもできなくなっといた。


下から、光が溢れてきた。

僕は目を細め、地面に横たわるアルテミアを見た。

今までは、僕を包んだ…この光は、アルテミア自身を包み、やがて…光が止むと同時に、アルテミアは目を開けた。

そして、それと同時に指輪は、砕け散った。

ゆっくりと、全身の動きを確かめながら、アルテミアは立ち上がる。

風になびく美しいブロンドの髪に、コバルトブルーの瞳。華奢な体でありながら、どこか漂うしなやかさ。

そのコバルトブルーの瞳が、僕を見た。

「赤星…」




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