天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「あなたは一体、誰なの?何の為に、あたしをここに閉じ込めているのよ!出してよ」

明菜は怯えながらも、強がり、筒の中から、クラークを睨みつけた。

クラークは肩をすくめ、ドアを閉めた。

「もっと、リラックスしてくれていいのに…君は、用が済んだら、もとの世界に戻って貰うしね」

クラークが召喚と呟くと、明菜の手に紙コップが現れた。

驚いた明菜は、手を離したが、コップは宙に浮かんでいた。

「毒は入ってないよ。君の口に合うかは、わからないけど」

クラークの手にも、コップが現れ、一口飲んだ。

「な、何なの…トリック?」

明菜は、恐る恐る宙に浮かぶコップを突いてみた。

「トリック…」

クラークは、その言葉を知らなかった。明菜の思考を読み、ニアンスを探った。

しばらくして、クラークは爆笑した。

「トリックか…この世界を否定する言葉だな。面白い!覚えておくよ」

明菜は、不気味がって、コップから離れた。

「君は、この世界に、しばらくいたことがあったのだが…」

クラークは、魔法陣に決して入らない。円の外で、腕を組んでいた。

「意識がなかったから、覚えてないか…。しかし、君は、この世界にいたのだよ。女神と融合して」


「女神って…この世界って…」

明菜には、訳がわからない。

クラークは苦笑し、

「だけど…少しは、感覚で覚えているはずだ」

手を前に、突き出すと、コップは筒の中から、クラークの手にテレポートする。

「喉が乾いたら、遠慮なく言ってくれたまえ」

コップは、2つもいらない。

クラークの持つコップの大きさが、二倍になった。

目を見張る明菜に、クラークは深々と頭を下げた。

「ようこそ、ブルーワールドへ。ようこそ、我がトリックショーへ」

クラークの持っていたコップが、銃に変わる。

銃口を、明菜に向け、

「但し…種はないけどね」
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