天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

闇に潜むもの程、光を求めるが...

「クッ」

カードシステムの要である格納庫で、どこまで続いているのかわからない回廊の手摺りに、もたれていたクラークは、痛みに顔をしかめた。

鋭い鉄の爪が、クラークの右肩を貫いていた。

クラークは、抜こうと爪に手をかけたが、

焼けるような痛みに、思わず手を離した。

「さすがは、炎の女神の爪」

クラークは、感心したように笑うと、目をつぶった。

クラークの肌の色が真っ赤になると、クラークはもう一度爪を掴み、一気に引き抜いた。

少し血が出たが、傷口は焼けている為、大したことはない。

爪は抜けると、クラークの手の中からすり抜け、格納庫内のどこかへと飛んでいった。

「しつこいな」

クラークは、手のひらを確認した。焼き爛れている。

「さすがは、最上級の炎」

クラークの体の色が、戻る。 

カードを出し、傷口にかざすと、傷はふさがった。火傷は、少し残っていた。

「それにしても…」

クラークは、爪が消えた所を凝視した。カードを目にかざすと、クラークの視界は、暗闇にもかかわらず、すべてが見えるようになる。

しかし、確認できなかった。カードのディスプレイを確認すると、微かな反応はあった。

「まあ、いい」

クラークはカードをしまうと、格納庫の暗闇に背を向けて、歩きだした。

「来たければ、来るがいいさ」

クラークは、格納庫の出入口から、長い廊下を歩きだした。

真っ直ぐ行けば、かつてのティアナの封印の部屋がある。
静寂が包む廊下を、クラークは歩いていく。

ティアナの部屋の前で、一度止まり…鼻を鳴らすと、クラークは隣の部屋のノブに、手を伸ばした。

カチャ。

ノブが回り、簡単に開いた。

「おはよう」

満面の笑みを浮かべながら、クラークは部屋の中に入った。

十二畳くらいある部屋の床一面に、書かれた魔法陣。

その中央で、透明なガラス状の筒の中にとらわれた少女。

少女の名は、沢村明菜。
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