天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

本当の旅立ち

(どうする?)

授業が終わり、悩みながらも、家に帰ろうと、僕は校門に向かって歩いていた。

(うん?)
 
僕は何やら周りが、きな臭いことに気付き、足を止めた。

先生達が、校舎内を走り回っていた。

「やはり、いないか…」

心配そうな顔をしている先生達の顔を見ながら、その横を通り過ぎようとした僕の肩を、後ろから誰か叩いた。

びっくとして、振り返った僕はとっさに、カードを取り出した。

「赤星くんだったね」

「い、飯田先輩」

肩を叩いたのは、笑顔の直樹だった。

僕は、出したカードを手のひらで隠した。

「確か…君は、沢村さんの友達だったね」

「幼なじみです」

笑顔から一転して、真剣な表情になった直樹は、

「沢村さんを知らないかな?いつのまにか、いなくなっているだ。荷物は、教室に残っているし…」

僕は、言葉が出なかった。先ほどの明菜が、異空間に引き込まれるのを見ていたからだ。

(だけど…今、どうしたらいいんだ)

直樹は、顔色の変わった僕を訝しげに見ていた。

その視線に気付いた僕は、慌てて、顔を背けた。 

「知りません」

「赤星くん…?」

そのまま、言葉が続かない二人。


「直樹!どうした?」

立ち尽くす二人に気付いて、校門の方から、中谷美奈子が近寄ってきた。

どうやら、演劇部総出で、明菜を探してるらしい。

直樹は、美奈子の声にはっとして、僕に話しだした。

「今日は、おかしな事件が、多発している。病院に運ばれた者もいる。沢村さんも、何かに巻き込まれたかもしれない。知っていることがあったら、教えてほしい」

直樹だけでなく、美奈子も近づいてくる。

僕は、校門に背を向けて、走りだした。

「し、知りません!」

「赤星くん!」

僕は、直樹の声を振り切って、校舎に向かって走りだした。

その手に、カードを握り締めて。

(やるしかない)

僕はカードを確認した。ポイントは、ほとんど減っていない。アルテミアキラーの戦いを経て、レベルも109になっていた。

(いけるはずだ!あの世界に)






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