天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

装いの嘘を奏でて

「何があった?」

上空から、何度も執拗に攻撃をくわえてくる人面鳥の群れを、がっちりした体格の割に、身軽に動きながら、戦うダラスは、

いきなりの空が炎に包まれたのを見て、驚愕した。

焼け焦げ、灰と化して落ちてくる人面鳥を、ダラスは見上げながら、カードを見て、さらに驚いた。

「ち、近くに魔神反応!」

ダラスは、火花が雨のように落ちてくる中、カードのディスプレイに、周辺の地図を移した。

神クラスになると、赤で点滅される。防衛軍のデータに登録されていないのか…魔神の名前は、出ない。

「どういうことだ」

もう一度、データベースにアクセスしょうとしたら―――――魔神の反応は消えた。


「隊長!」

ダラスに、数人のセラミックの鎧を纏った戦士が、近づいてくる。

ダラスは、探索を止め、戦士達を見た。

「魔物どもは、どうなった?――この炎による町の損害状況は?」

ダラスの言葉に、そばに来た五人が敬礼し、一人が報告した。

「人面鳥は、ほぼ全滅。町は、今のところ、炎による火災等は起こっておりません」

「起こっていないだと!これ程の威力があったのかに!?」

ダラスは驚愕した。

(だとしたら…魔物だけを狙ったのか?)

ダラスは首を捻り、炎が消え、晴天の空を見上げようとした。

暗い。

太陽の光は、ダラスに届かなかった。

巨大な影が、町を覆っていた。

雨雲よりも暗く、夜よりも生々しい。

「ぐぐぐ……」

まるで、鍋が煮立ったような声を発し、影は鳴いた。

二百メートルはあるその巨体に、ダラスは唾を飲んだ。

「黒竜…」

更に、百メートルはある首を地上に向け、真っ赤に燃えた瞳を、ダラス達に向ける。

何かを探しているようだ。

額から生えた角は、アンテナになっており、下級魔なら操ることが可能だ。

「こいつが、人面鳥を操っていたのか…」

ダラスは、カードを取出し、

「全員、ドラゴンキラーを装備!」

「はっ!」

カードが煌めき、戦士達の右手に、ドラゴンキラーが装着される。

「まずは、町から追い出せ!」
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