天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ダラスは、信じられないものを見て、思わず立ちすくんでしまった。

少年は、ゆっくりとダラスの方に向けて、歩いてくる。

ダラスは眼中にないのか…ダラスを見ることもなく、ダラスの横を通り過ぎる。

(に、人間なのか?)

ダラスの額に、冷や汗が流れた。

黒竜を一撃で倒した程だ。ダラスに勝てる見込みはない。しかし、このまま、町に入れる訳にはいかない。


「待て!」

ダラスはドラゴンキラーを、歩いていく少年の背中に向けた。

「お前は、何者だ!」

ダラスの言葉に、少年は足をとめた。

ゆっくりと、振り返り、

「あのお………町の方ですか」

ダラスに、愛想笑いを浮かべた。

「ここはどこですかね」

ダラスは、先程ちらりと見た少年の目付きと、今自分に見せる笑顔の違いに、驚いていた。

「あと…水、飲めますかね?」

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