天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「クッ」

廊下の途中で、クラークはいきなり、肩を押さえて蹲った。

「やはり…負担がかかったか」

クラークは来ていたシャツのボタンを外し、肩口まで捲った。

黒い鱗が、肩から胸までを覆っていた。

「もう…もとに戻らなくなってきた…」

クラークは、フッと笑うと、シャツを戻した。

(あと…何回保つか)

ボタンを閉めた手の平に、目が行った。そこにも、少し鱗が残っていた。

「モード・チェンジを控えるしかあるまい」

手の平を握り締めると、クラークはまた歩き出した。

すると、自然に笑みがこぼれた。

「先輩…俺が死んだら…」

クラークは、歩く速度を少し上げた。

突き当たりのティアナの部屋が、見えてきた。

「新しい化け物の情報を、登録すればいい」


クラークは、その隣の異空間に作っている…部屋なき部屋のドアを開けた。


「やあ、明菜くん!待たせたね。君に、新しい時代が開ける瞬間をお見せしましょう」

部屋の中央の床に描かれた魔法陣のさらに、中央にいる明菜に、笑いかけた。

ぐったりとしていた明菜は、クラークの声を聞くと、顔を上げ、激しく睨んだ。

そんな明菜を気にせず、クラークは五枚のブラックカードを取り出した。

「始めよう」
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