天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「くそ!」

アルテミアは、六枚の翼を広げながら、塔の周りを旋回する。

入口を探したが、入口どころか窓さえない。

「だったら…つくればいいんだよ!」

両手をかざし、アルテミアは雷撃を放つ。

高さ百メートル、直径も百メートル程ある塔に、血管の如く雷が走るが、揺れるだけで、傷一つ付かない。

「チッ」

アルテミアは舌打ちすると、チェンジ・ザ・ハートを掴んだ。

2つに分け、胸元でクロスさせると…ライトニングソードを握り締めた。

「ぶった切ってやる!」

アルテミアは横凪ぎに、塔を切ろうとした。

その瞬間、地下から、巨大な回転物が飛んできて、ライトニングソードにぶつかった。

ライトニングソードは跳ね上がり、塔を切ることはできなかった。

「な」

アルテミアは目を見開き、回転しながら、下へ戻っていく回転物を凝視した。

「ブーメラン!?」

アルテミアは体を反転させると、ブーメランを追った。

アルテミアの視界に迫る地面に、戻ってきたブーメランを手に取った男が、映った。

「安定者か!」

男の手に握られたブラックカードを、アルテミアは見逃さなかった。

アルテミアはまた反転し、男の前に着地した。

その着地する瞬間に、ジャスティンは召喚し、剣を真っ直ぐ突き出した。

アルテミアの喉元に、突き刺さる寸前で、剣は止められていた。

ライトニングソードと同じで、十字架に似た剣だが、ライトニングソードより細く、針のようだった。

アルテミアの動きが一瞬、止まる。このまま突かれるのか、どうなるのか…はかりかねたからだ。

アルテミアの額から、冷や汗が流れ、後ろにジャンプするのと、男が剣を下げたのは、同時だった。

「ライトニングソードか…」

アルテミアの手に握られたライトニングソードを、男は懐かしそうに見つめた。

アルテミアは、汗を拭うこともせず、ライトニングソードを構え、体勢を整えた。

ライトニングソードを握りしめ、

「お前は、安定者か!」

男を睨んだ。

「だとしたら…どうする?」


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