天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「知るか!誰かを犠牲にしてしか、生きれないなら」

アルテミアは回転し、剣を振るう威力を増した。

片手では受け切れず、ジャスティンは剣を両手で掴んだ。ずしりと重い衝撃が、剣を通して、ジャスティンに伝わった。

「人なんか滅んだらいい」

ジャスティンは押され、思わず後方にジャンプした。

それをアルテミアが、追い掛ける。

ジャスティンは、フッと笑い…剣を突き出した。

「人は、誰かの犠牲の上で生きているが…」

アルテミアは、突きの体勢に入る。

「そのことに気付かない。人は、誰もな。だけど…もし気付いたなら…人は、人として」

アルテミアとジャスティンの間の地面から、ブーメランが飛び出してきた。

「何!」

アルテミアが一瞬、ブーメランに気をとられた刹那、ジャスティンは両手を広げた。

「人は、悔いることができる」




ブーメランは、アルテミアではなく、ジャスティンの胸元から背中まで突き刺さった。

絶句したアルテミアの勢いは、止まらない。

そのまま、ジャスティンの胸に突き刺さった。


「これでいい…これで」

ジャスティンは、自分の胸元から吹き出す血を、指ですくうと、驚きのあまり動かないアルテミアの額に、血で文字を描いた。

「これが、俺の最後の思いだ」
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