天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「当たり前だ。あいつは、ティアナとともに、魔王の居城まで攻め入った程のやつだ。並の戦士ではない。安定者最強といわれていたんだからな」

格納庫内部の部屋で、クラークは呟いた。

自らの眼球の表面をスクリーンにし、式神衛星の映像をトレースしていた。

「それに、アルテミアの戦い方の基本は、ティアナに教えられたもの。そのティアナの直属の部下にして、弟子であるジャスティンに、体術で勝てる訳がない。しかし―――」

クラークは、にやりと笑った。

「だから、勝てないこともわかっている」

クラークの笑いを、明菜は不気味そうに見ていた。

そんな明菜の視線を無視して、

「勝つ気ならば、最近の一撃で、倒せたはずだ…。あいつは甘い」

クラークは、言葉を続けた。

「人は、人の犠牲の上に成り立っている」


ジャスティンは、深呼吸をした。

目の前にいる…まだ大人になっていない少女の危うさと、誰よりも強い力のギャプに…ジャスティンは、心の底で悲しくなっていたが、表情に出す訳にはいかなかった。


ただ自分を睨む少女に、ジャスティンは話し掛けた。

「この世界で…人が、魔と戦えるのは、君の母上のお陰だ。それなのに、君はこの世界を混乱させるつもりかい?」

ジャスティンの優しい口調に、少女は更に、怒りを露にした。

「何言ってやがる!お前らが、お母様を殺して、こんな糞システムをつくったんだろうが!」

少女の怒りは、もっともだ。

しかし、

「過程がどうであれ…今の結果は、ティアナ先輩が望んだことになっている。人は、戦うすべを身につけた」


「ティアナ先輩?…」

アルテミアは、眉をひそめながら呟き、

「お母様を犠牲にして…何の力だ」

アルテミアは、ライトニングソードを振るった。

ジャスティンは、それを剣で軽く、片手であしらうと、

「確かにそうだ!君の言う通りだが…それでは、人はこの世界では、生きていけない」




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