天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「終わったのですか?」

炎の騎士団長リンネが、呟いた。

「いや…生まれたのさ」

暗黒の空間で、玉座に座るライが呟いた。

瞼をゆっくりと開け、その赤き瞳を闇に晒した。

そして、ゆっくりと口を開いた。

「バンパイアキラーが…」

玉座のそばに控えていた蛙男が、ライの言葉を続ける。

「バンパイアキラーとは…人間達が思っているような兵器ではない。現在君臨する王に代わり、次の王となる者をさす言葉なのだ」

ライは、フッと笑った。

「しかし、ライ様を退け、それに王になる者など、存在するものか」

ふんぞり返り、えらそうに言う蛙男の耳に、ライの言葉が飛び込んできた。

「今…生まれたと言ったはずだ」

蛙男は、はっとして…脂汗を流しながら、ひれ伏した。

「はは!そ、存在します」


「それも、二人だ」

ライは嬉しそうに、笑った。

「全魔神を集結させろ」

ライは、玉座から立ち上がった。

「はっ」

リンネは、膝まづいた。

「王が立たれた…」

蛙男は、目を見開いた。

ライは命令する。

「全軍をあげて、敵を抹殺せよ!敵の名は…」

ライの瞳が輝く。

「天空の女神、アルテミアと…赤星浩一」

闇が晴れる。

ライの周りを囲む四人の騎士団長に、百の魔神達。

「二人を殺せ!」

ライの言葉が、世界を震わせた。





天空のエトランゼ。

第一章完。

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