天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「大丈夫よ」

紅は、僕に微笑んだ。

「どういうことだ…」

ロバートは、目を見開いた。

突き立てたはずの魔物の爪は、紅に突き刺さっていなかった。

切っ先が砂になって、こぼれ落ちていた。

「この世界は、強い意志をもった者が、力を持つの」

紅が、クルッと回転しただけで、周りの魔物が一瞬にして、砂に戻る。

「こんな雑魚に…あたしは、やれないわ」

「あなたは一体…」

僕は唖然として、紅を見つめた。

紅は、クスッと笑い、

「でも…あなた達は、生身…気をつけた方がいいわ」

「赤星!何やってんだ!」

紅に、気を取られていた僕に、魔物は飛びかかろうとしたのを、とっさにアルテミアが回し蹴りでたたき落とした。

「くそ!」

何とか攻撃を避けていたロバートは、一瞬にして、魔物の懐入り込み、手刀を叩き込むと、剣を持っていた魔物から、武器を奪い取った。

「よし!」

しかし、奪った剣はすぐに、砂に戻っていく。

「意志を保つの!」

紅が叫んだ。

「意志を込めて!これは、剣だって!自分の剣だって!」

ロバートは、はっとして、

「意志を込める…」

静かに目を瞑り、剣を握る手に、力を込めた。

「ハッ!」

気合いとともに、横凪ぎに、剣を振るった。

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