天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
紅は両手に砂を感じ、ぎゅと握り締めた。

俯けた顔も、すぐに笑顔に戻し、

「さあ!帰りましょう」

まだ、安土城はすぐそばにある。

「急いで、この場を、離れないと」

サーシャは振り返って、安土城を見た。

まだ、追ってくる動きはない。

「アルテミア…」

サーシャはまだ、城にいると思われる…アルテミアの身を案じた。

「女神なら、大丈夫よ」

紅は微笑みながら、サーシャの肩を叩いた。

サーシャは、コクッと頷くと、城に背を向けた。

「あたしに掴まって」

もう何があっても、驚かなかった。

紅に掴まると、一瞬にして、紅の家の前に、ワープした。

4人が、動いたのではない。

周りの景色が、動いたのだ。

もう安土城なんて、見えなかった。

「家の場所を変えたわ」

紅は、2人に笑いかけると、

「しばらくは、見つからないはずよ。彼を休めましょう」

紅は家のドアを開け、三人を中に促した。
< 440 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop