天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
近くに、赤星もいない。

もう…すべてが、崩れると、他人事のように思った時。

アルテミアから落ちる砂が、キラキラと輝きだした。

まるで、星屑のように。

それは、どこからか吹いた風に乗り、キラキラと黄金色に輝きながら、小さな竜巻のように、砂のダンスを踊る。

黄金色の砂は、やがて一粒一粒の輝きが繋がり合い…川のように流れる。

いや、それは川ではなかった。

綺麗なブロンドの髪。

アルテミアは目を見張り、

そして、涙が流れた。

それは、遠い昔の記憶の中、忘れ得ぬ思い出。

川の流れは止まり、風が止んだ。

ブロンドの髪は、ゆっくりと…下に流れた。

「お母様…」

アルテミアの言葉に、ただ微笑む人物。

それは、アルテミアの母にして、元安定者であり、魔王ライの妻…

ティアナであった。

「お母様…」

アルテミアは立ち上がり、ティアナに抱きついた。

ティアナの体が、少し崩れた。

どうやら、体を安定することができないみたいだ。

「お母様」

砂でありながらも、母親に触れられる感触に、アルテミアの涙は、止まらない。

ティアナはただ…アルテミアの頭を撫でてやるだけだった。




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