天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
何か話そうと、口を動かせば…唇が崩れていく。

ティアナは、何度も唇を作るが、話せない。

「お母様!」

アルテミアも唇の動きから、言葉を読み取ろうとするが、無理だった。

ティアナは悲しげに、微笑みながら、アルテミアをぎゅと抱き締めた。

力を入れた為か、腕が崩れていく。

それでも、ティアナはアルテミアを抱き締め続け、

砂に戻っていく。

「嫌!お母様ああ…」

アルテミアも、きつく抱き締めた。

だけど、

アルテミアの腕の中で、ティアナは崩れていく。

「お母様アアアアア!」

アルテミアの絶叫も虚しく、ただ足下に、キラキラ輝く砂が残っただけだ。

「お母様…」

その場で両膝を折り、アルテミアは崩れ落ちた。

アルテミアの体自体も、崩れていく。

風が吹き、アルテミアとティアナだった砂が、風に飛ばされていく。

意志を失い、砂に帰化していくアルテミアの体。

完全に消え去ろうとした瞬間。

アルテミアのまだ目の形をしている砂が、ティアナの砂が吹き飛び、

中から、出て来た物を映した。

それは…。

「チェンジ・ザ・ハート…」

アルテミアの体が、再び構成され…腕となった砂で、チェンジ・ザ・ハートを掴んだ。




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