天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
炎の盗賊団。

世間は、そう僕らを呼んでいた。

貴金属や金目の物を盗むのではなく…食べ物や、衣服、水や石鹸など…日々の生活必需品を盗む泥棒。

盗賊団というより、窃盗だろう。

コソドロというのかもしれない。

「メロメロ!それを返して来い!」

僕の言葉に、メロメロはそっぽを向き、

「いや、メロ!」

「メロメロ!」

僕の剣幕にも、メロメロは平然とし、

「こいつは、魔術衣料の新製品メロ。耐熱仕様だから、今までのすぐ燃える服と違って、物凄くいいメロ」

材質を確かめて、満足気なメロメロに、僕は呆れながら、

「やっぱりいけないよ」

諭すように言おうとしたけど、メロメロはどこ吹く風で…、

「姉さんの分もあるメロ!」

どこからか、取り出したワンサイズ上の女性用の服とズボンを、フレアに渡していた。

フレアは無表情で頷き、体を包んでいた炎を消した。

白い透き通った裸体が、いきなり現れて、僕は慌てて顔を背けた。

「お揃いメロ!」

嬉しそうに、はしゃぐメロメロに、僕は堪忍袋の尾が切れた。

「メロメロ!返して来い!泥棒は、犯罪だ!」

僕の剣幕に、メロメロは睨み返すと、

「いやメロ!人から、奪うのは、魔物の本業メロ!」

「僕は、魔物じゃない!」

「魔物じゃなかったら、何メロ!魔力がある人間なんていないメロ!それに!」

メロメロはつかつかと、僕に近づき、目の前で指を突き出した。

「そんなに言うなら、兄貴が、物を調達したらいいメロ!今ある道具は、全部!メロメロが、盗ってきたメロ!兄貴に、用意できるメロか!」


「そ、それは…」

僕は、思わず…後退った。

この大陸に来てから、カードが使えない為、買い物もできない。

いくら無限に使用できるブラックカードを持っていても…圏外で使えなければ、意味がない。

それに、この大陸は…他の国と違っていた。

生活、いや世界そのものが違っていた。

「本当、兄貴は戦いだけで…後は、てんで役に立たないメロ」

メロメロは腕を組んで、ため息をついた。

「ほんと…役たたづだわね」

メロメロの肩に、止まった妖精がため息をついた。

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