天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
闇の中の光の欠片
「王よ…」

闇の間から、謁見に間に移動したライは、ただ…玉座に座り、魔神達の報告を聞いていた。

戦況は、芳しくなく…108いた魔神は、80まで減っていた。

玉座の前に跪き、報告を終えた魔神に、側近であるカエル男が下がるように、伝えると、魔神はもう一度深々と頭を下げると、謁見の間から退室した。

ライが何もこたえない為、謁見の間にやや重い空気が、流れる。

少し怯えているカエル男に代わって、炎の騎士団長リンネが、玉座の横から出ると、王の前に跪いた。

「王よ…。我々は、このままでは…天空の女神にも、赤星浩一にさえ…勝てません」

玉座の左右に立つ三人の騎士団長の顔に、驚きが走る。

水の騎士団長ポセイドンに、カイオウ。

炎の騎士団長不動に---

リンネ。

一重瞼に、跪くと床につくほどの長い黒髪を、さらに押しつけるように、リンネは頭を下げる。

「ネーナ様、マリー様を失った今…我が軍で、二人と戦えるのは、我々騎士団長のみ。勝つとなれば…」

騎士団長の間で、緊張が走る。

「王…あなたしかおりません」


「聞き捨てならなんな」

リンネの言葉に、ポセイドンが一歩前に出た。

「我ら…いや、我が勝てぬと?」

鮫の肌のようなざらついた…武骨の鎧を身に纏ったポセイドンは、ギロリと上から、リンネを見下ろした。

「事実を述べたまでです」

リンネの揺るぎない口調に、ポセイドンはキレた。

「自分の腑甲斐なさを晒しておいて…我らまでも、恥をかかすつもりか」

「ポセイドン殿の強さは存じておりますが…あの二人には勝てませぬ。何とか、水中に引き込めは…善戦はできるでしょうが…」

リンネの冷静な分析の途中、ポセイドンの持つ巨大な鎌が、リンネの首筋に差し込まれた。

「小娘が!先代の時代より、軍勢を預かっている我を…舐めるな!」


「ポセイドン!控えよ!王の前ぞ」

カエル男の仲裁も聞こえないポセイドンは、鎌を振るおうとしたが…リンネの髪が絡みつき、鎌を振るえない。
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