天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「王よ…。赤星浩一が、今いる場所は…例の大陸でございます」

ポセイドンを無視し、ライだけを見据えるリンネの言葉に、

ライは初めて、笑った。

「関係ない…。今更、何もできぬ」

ライの言葉に、リンネは深く頭を下げ、

「わかりました。その件は、こちらで対処致します」

リンネは立ち上がった。

首筋に差し込まれた鎌も、髪の毛に巻き付けられながら、上がっていく。

「こざかしい小娘か!我が、何も知らぬと思っておるのか!こちらで対処するだと!赤星という人間と、ともにいる魔物の一匹は、貴様の妹だろ!」

ポセイドンは、力を込めると、髪ごと鎌を首筋からひっこ抜くと、頭上へと振り上げた。

その鎌を横合いから、炎の手が掴んだ。

「ポセイドン殿。王の目の前ぞ」

「不動!」

全身が炎でできており、燃え盛る炎を鎧で押さえている姿の不動は、炎でできた眼球を、ポセイドンに向けた。

絡み合う視線。

リンネだけは、ライに頭を下げていた。

「控えよ!」

カエル男はもう一度、叫んだ。

カイオウは、この騒動にも、微動だにせず…玉座の横で、目をつぶっていた。

「……リンネよ。お前の考えは、分かっている」

ライは呟くように、口を開いた。

ポセイドンと不動はさっと離れると、王の前に跪いた。

リンネも再び、跪いた。

「しかし…」

ライはまた、無言になった。

リンネ達は、静かにライの言葉を待つ。



「王よ…」

今までずっと、目をつぶっていたカイオウが、いきなり、玉座の前に立ち、跪いた。
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