天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「恐れながら申し上げます。我々、騎士団長を…いや、すべての魔物を率いることのできるお方は、王と…あの方しかおりませぬ」

「カイオウ…」

リンネは少し顔を上げ、前に控えるカイオウを見た。

カイオウは顔を伏せたまま、言葉を続けた。

「王のお気持ちも、十分察しております。しかし!今の我々には、あの方のお力が、必要なのです!」

カイオウは、鎧の肩当てを外し、上半身の鎧を脱いだ。

そこにあるものは…肩から胸にかけて走る傷痕。

「あの方こそが、今の我らの希望!」

カイオウの心からの叫びに、ライは目を開けた。

「カイオウよ」

「はっ!」

少し間を開け、

「今のあやつに…心はないぞ」

「存じております!…しかし!あの方の存在こそが、必要なのです!」

カイオウは額を、床に付けた。

「カイオウ…」

ライは、玉座から立ち上がった。

「主の気持ちはわかった。だが」

ライは、カイオウを見下ろした。

「動くかどうかは…あやつの体次第だ」

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