天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「なぜ…お前がここにいる!それに、今の魔法は…」

すべてが、クラークにとって予想外だった。

いきなりのロバートの登場は、クラークのシナリオにはなかった。

「ロバート・ハイツ!まともに、魔法を使えないお前が、なぜここにいる!」

クラークは、次元刀の切っ先をロバートに向けた。

ロバートは微動だにせず、だだ次元刀だけを、凝視していた。

「その剣は、生きているな」

ロバートの思いがけない言葉に、クラークはぎょっとなった。

その表情の変化を、ロバートは見逃さなかった。

「今の俺は、何でも見透すことができる」

ロバートは、サングラスを外した。

「な!」

クラークは絶句した。

「これも対価さ。再び、戦う為の」

ロバートは、フッと笑った。

「お前…魔力だけでなく、自分の体さえ、売ったのか」

ロバートの顔には、目がなかった。

眼球がなくなっていたのだ。

「あんたと同じさ」

ロバートは、再びサングラスを掛け直すと、クラークを凝視した。

その視線の強さに、クラークは思わず歯を食い縛った。


「見えてんのかよ」

正志は、クラークの肩越しに、ロバートを見つめ、呟いた。

「見えてんだろ」

松永は、剣を握る手に汗が滲んで来るのを、感じていた。

静かな殺気が、ロバートから放たれていた。


「もお〜!」

さっきのラルといい、ロバートといい…神流のいらいらは頂点に達していた。

「どいつも、こいつも!偉そうにしやがって!」

そのいらいらは、防衛本能だったのかも、しれない。

神流の両手がスパークし、光を圧縮すると、レザー光線を発射した。

それは、ほんの一瞬だった。

一筋の光は、一直線にロバートに向かっていった。

しかし、その瞬間。

レザー光線は、同じ軌道を戻っていく。

「え」

放った時と同時に、神流の右手が肩口から、切断された。

「ぎゃあああ!」

神流の絶叫が、こだました。
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