天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「神流!」

松永達が、神流に駆け寄る。


「ロバート!」

クラークは、ロバートに襲い掛かろうとしたが、

ロバートは顎で、神流の方を促した。

足を止め、振り返ったクラークの目に、信じられない光景が映る。

血達磨になっているはずの神流が、まったく血を流していないのだ。

「てめえ!」

右肩を押さえた神流が、ロバートを、血走った目で睨んでいた。

「どうなっているんだ!」

近寄ろうとした松永と正志は、神流に近付けなかった。


肩口から、噴き出すはずの血は…どす黒い何かに変わっていた。

それは…。



「腕が生えたああ!」

正志は後退った。

「殺してやる!」

神流の右手は、新しいものに変わっていた。前より、屈強で、鋭い爪を持った手に。


「傷つければ、傷つける程…肉体は強化されていく…。あれが、魔獣因子か…」

ロバートの感心したような言葉に、クラークは目を見張った。

「お前…」

「しかし。その肉体は、人間ではなくなっていく…か」

ロバートは、クラークに顔を向けた。

「かつて…あんたは、俺にそう語っていたな」
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