天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「彼らは…なぜ?選ばれたのですか?」

クラークの腕の中で、素直な質問を投げ掛けた舞子に、クラークは嘘を言う気には、なれなかった。

(どうこたえたものか…)

言葉を悩んでるいると、舞子は顔を上げ、身長が190近くあるクラークの顔を、見上げた。

その真剣な表情に、戸惑っているクラークに、舞子はきいた。

「魔獣因子とは?何ですか?」


クラークはその言葉に、思わず舞子から離れてしまった。

舞子は腕の中から離されても、視線だけはクラークから離さなかった。

クラークはフッと笑うと、全裸の舞子の体をバスローブがまた包み、

テーブルに置かれたグラスに、ジンを注いだ。

一口飲むと、おもむろに話しだした。

「人は、何の苦労もなく…強大な力、権利を手に入れたら、どうする?」

クラークの問い掛けは、舞子に向けられていない。すぐに言葉を続けた。

「その力を、放棄するものもいるだろうが…大体は、力を使う者か…力をコントロールする者かに、別れる」

クラークは、グラスに氷を入れた。少しグラスの中で、転がす。

「前者は、単に力を使っているだけの者…つまり、力に使われている者だ。人の殆どは、これに分類される。力を使いたい!他人に向けて、行使したい!」

クラークの言葉に、力が入る。

「しかし!それでは、人を使うこと…つまり、支配することはできない!人という種を、完全に率いることはできない!」

クラークは、グラスの中身を飲み干すと、テーブルに叩きつけるかのように、置いた。

舞子は、ただクラークを見守っている。

「力を持った者は、後者でなければならない。なぜ、このような力を得たのか?なぜ、自分なのか?この力をどうすればいいのか!力に、己に問い掛けることが、できる者こそ!人という種のトップに立てる」





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