天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「誰だ?」

いきなり、テレポートしてくる者の気配を感じ、西園寺はベットから飛び降りた。

自分もつい今し方、地上から、戻ってきたばかりだった。

ベットに横になるとすぐに、テレポートアウトを感じ、西園寺は身構えた。



「西園寺…」

テレポートしてきたのは、松永だった。

悲痛な目を、西園寺に向け、うつ伏せになりながら、西園寺に向かって、手を伸ばしていた。

「松永!お、お前…」

西園寺は絶句した。

松永の右足が、膝から下がなくなっていた。

鋭利な刃物で切断したようだ。

切断面からは、血が一滴も流れておらず…なぜか煙だけが、立ち上っていた。

「西園寺くん」

クラークが慌てて、部屋のドアを開け、中に入ってきた。

「クラークさん…」

西園寺は、クラークを見た。

松永は、西園寺にじりじりと近づいていく。

クラークは、松永の切断面に絡み付く、小さな火を見つけた。

それは、蛇の形をし、炎の舌を出していた。

「これは…リンネの…」

クラークは一瞬の内に、状況を理解した。

(バレたか!)

舌打ちすると、クラークは後ろにいた舞子を引き寄せると、抱き締めた。

「クラーク?」

舞子には、状況が理解できない。

「西園寺くん!今から、テレポートしろ!行き先を思い浮べずに!」

クラークの叫びに、西園寺は、

「松永が!」

手を伸ばしてくる松永に、触れようとした西園寺を、クラークは制した。

「触るな!こいつはもう、リンネの炎に犯されている!」
「しかし」

西園寺は、迷ってしまう。

「もう時間がない!魔王に知られた!基地は、退避できない」

「しかし」

「助けて…」

松永の足が燃えだした。

それと同時に、凄まじいプレッシャーを足元から、感じた。


「間に合わない!」

クラークは仕方なく、舞子を抱き締めると、テレポートした。

「西園寺…」

目や口…鼻からも、炎を噴き出した松永を見捨て、

西園寺は、テレポートすることにした。

「すまない」

目を逸らし、テレポートするのと、基地が消滅するのは、ほんの数秒の差だった。

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