天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
悲しき宿命の繋がりと断ち切れない宿命の絆
「まあ…許してやる。次からは、ちゃんとしろよ」

40センチの小人とは思えない凄味を漂わせながら、メロメロを睨むティフィンに、僕はただオロオロしているだけだった。

「フン!」

そっぽを向くと、フレアの肩にティフィンは止まった。

「き、気を付けるメロ…」

両頬が腫れ上がり、カメレオンのような顔が、がま蛙のようになりながらも、メロメロは頭を下げた。


僕は、ため息をついた。

魔物との旅…慣れない道中だが、ティフィンとフレア…そして、メロメロと僕の四人は、この大陸の奥にあるといわれる…神の受皿といわれる城を、目指していた。


なぜ、そんなところにいかなけばならないのか…。


「ったく…あんなところ…。本当なら、絶対行きたくないのに」

ティフィンは、フレアの頭に頬杖をつきながら、嘆いた。

「心配ないメロ!こっちには、兄貴がいるメロ!普段は、頼りないけど、戦いだけは頼りになるメロ!」

「そうかしら…」

メロメロの言葉に、ティフィンとフレアは振り返り、一番後ろを歩く僕をじっと見つめた。

僕は顔を引きつらせながら、愛想笑いを浮かべた。

これを見たティフィンは、

「気持ち悪!」

吐きそうなリアクションをすると、ティフィンは前を向き、フレアはため息をついた。


「な、なんなんだ…」

あまりにも邪険な扱いだが、僕は怒りを感じなかった。

もう慣れていたのだ。


それに、別のことも考えていた。

(神の受皿…)

ここ数週間…僕たちは神の受皿を目指し、ただ足を進めていた。


そこにいるだろうと思われる人物に、会うために。




「兄貴。どうしたメロ?」

いきなり足を止めて、振り返ったまま動かない僕に、メロメロが、怪訝な顔を向けた。


「何でもない」

僕はすぐに歩き出した。


(今のは…一体?)

突然、僕の全身に、微かに感じた魔力。

それは、遥か遠くの揺れだった。

まるで、天と地と海が、ぶつかり合うような異様な感覚。


(これは…女神の攻撃?…だとしたら、アルテミアか!)



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