天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「姉さん!」
「フレア…」

全身が切り刻まれ、血だらけになってしまったフレアを見て、何とか動こうとするが、力が体に伝わらない。

「さあ…頂こうか。お前の力を!それを、手に入れれば…我は、ライを超えることができる」

フレアを踏みつけ、前に出たレイを見て、

震えていたメロメロの顔が、変わる。

きっとレイを睨むと、僕を地面に置き、前に出た。

「その汚い足を退けろメロ!」

「ほお…」

レイは目を細めた。

肩を怒らせながら、メロメロはレイに近づいていく。怒りが、体の震えを止めていた。

「よくも、俺の仲間を!こんな目にあわせてくれたな!」

いつもと口調も変わったメロメロに、レイは苦笑した。

「貴様のような低レベルの魔物が、我にそのような口をきくとは…」

「俺の名は、炎の盗賊団のメロメロ!てめえみたいなこの国に、幽閉されてる奴と違い!自由に溢れた大盗賊だ!」

メロメロは、レイを指差した。

「つまらん…」

レイはそう呟いた。

「てめえなんか!兄貴が元気になれば、すぐに倒されるメロ!……………………………うぐぅ」



「メロメロ!」

僕は絶叫した。

「あ、兄貴…」

メロメロが振り返った。その口から、血が流れていた。

レイの手刀が、メロメロの胸から背中を貫いていた。

「つまらん…。この程度の魔物を殺しても、何の足しにもならない」

メロメロの胸から抜いた手に付いた血を、一振りで落とすと、レイは僕に視線を向けた。

何の感慨もない…冷たい視線。

その射ぬくような視線に、僕は怒りを覚えた。

だけど、体が動かない。

「兄貴…」

胸に風穴を開けられたメロメロが、ふらふらと僕に近づき、何とか正座の形で、半身を上げている僕の胸に倒れて込んできた。

それを受けとめようにも、腕が動かない。

「知ってるメロ…兄貴…。バンパイアに血を吸われた者は…そのバンパイアの中で、生きることが、できる……そうメロ……」

「メロメロ…」

メロメロは、僕の胸に顔をつけ、かすれた声で話し続けた。

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