天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
クラークは、目を細めて、僕を凝視しし、

「今まで生きてこれたのは、そのチェンジ・ザ・ハートや…お前が融合していた天空の女神のおかげだな…。感謝しろ」

クラークは、爪を伸ばした。

「そして、目醒めたバンパイアの力…。それらを失った今のお前に、生きるすべはない」

僕は、ライトニングソードの柄を握り締めたが、 

先程傷めた拳が、痛みだした。

(どうすればいい!)

目の前に立つ異形な姿のクラークを睨みながら、僕はどう戦っていいのかわからなかった。

人間だと思っていたが、今感じる魔力は、騎士団長クラスにも負けない。

「何を考えている。戦いの最中で、迷うことは死を意味する」

クラークは、ブラックカードを僕に示した。

「さらなる絶望を、教えてやろう」

クラークは、ブラックカードを自らの額に張りつけた。

(舞子…。これで、私は戻れない)


僕は驚愕した。

ブラックカードが、額に張りつき…脈打つと、

クラークの体が数倍に膨れ上がり、全身から鋭いトゲが突き出てきた。

蝟を思わす…その姿は、近づくだけで、傷だらけになりそうだ。

「なんという…魔力…」

僕の全身に鳥肌が立った。

しかし、心のどこかでうきうきしている。

(チッ)

心の中で、軽く舌打ちした。

僕は、鳥肌が立っている自分の肌を触った。

(魔力を失って…震えてるのに…。心は、喜んでいる)

僕は、改めて思った。

(僕はもう…人間じゃない…)



「赤星浩一!」

クラークの咆哮とともに、全身のトゲが、一斉に僕に向かって放たれた。

(だけど………だからこそ!)

僕は、痛めた手をそっと…ライトニングソードに添えると、

目をつぶった。

「みんなを守りたい!」

ライトニングソードを、軽く振った。

雷撃の幕ができ、すべてのトゲを叩き落とす。 


「何!?」

クラークが、驚きの表情を見せる。


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