天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「障壁が…」

消えたことに、轟は驚いている暇は…なかった。

「隊長!」

轟の周りに、11人の隊員が集結する。

前方に意識を集中し、槍を突き出しながら、轟はきいた。

「他の者達は?」

「サーシャのもとへ」

隊員の答えに、

「そうか…」

轟は表情を変えず、ただ前方を睨みつけながら、頷いた。

そして、ほんの数ミリ前に出た。

「くるぞ」

全員が構える。

今まで感じたことのないプレッシャーが、轟達を襲っていた。

人の本質的な恐怖。

訳もなく、闇を恐れ、不安になるのは、

人は、自らの天敵を覚えているからと…誰かが説明していた。

今、その恐れる理由の者が、現れようとしていた。


「うわあっ!」

恐怖に耐えられず、1人の隊員が、前方に襲いかかった。

「清水!早まるな」

轟の制止も聞かず、清水は前方の闇に向かって、ドラゴン・キラーを突き出した。

「雷撃の鉄槌!」

清水のドラゴンキラーが青白く、輝く。

「愚かな…」

静かな低い声が、轟達の耳の奥…鼓膜から、脳に直接響いた。

その後、清水の断末魔が聞こえた。

「清水…」

轟は唇を噛みしめると、残りの隊員に命令を出す。

「全員!全ポイントを使用!一撃だ!無空の陣にて、敵を倒す」
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