天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
(だけど……あなたに、火をつけることはできる………命の火を)

フレアは崩れ落ちる体を、反転させ……笑顔とともに、赤星の青白い唇に、口付けをした。

そして、最後の力を使って、燃え上がる。その炎は、己の体さえ、燃え尽くす程に。

「クッ」

その炎のあまりの強さに、レイはたじろいだ。

「無駄だ!どんなに燃えたところで!こやつは、もう死人だ」




「赤星!起きろ!」

ティフィンが飛んできて、赤星の耳元で、絶叫した。



その瞬間、赤星の目が開いた。

「うるさいな!ティフィンは!」

上半身を起こした僕は、目の前に骸骨の群れがいないことに、気付いた。

「そうだ……僕は」

頭がいきなり、物凄く痛んだ。

頭を押さえた僕は、全身が熱いことに気付いた。

「何があった…」

(赤星…)

フレアの声がした。

「フレア…」

なぜか唇を触った僕は、そこに残る暖かさに、動きが止まった。

「馬鹿な!ありえん!」

レイは、まだ血のついた右手を握り締めた。

「そうか…」

僕ははっとした。 

「だが!復活しても、同じこと!封印は、解けておらぬわ!」

玉座の間につながる階段から、骸骨の騎士の群れが、上がってくる。

「折角甦ったのに、また死ぬがよい」

骸骨の群れが、剣を上げ、僕に襲いかかろうとした。

僕は骸骨の群れを見た。ただ見た。ただそれだけで、骸骨の群れが止まった。


「どうした!なぜ襲い掛からぬ!お前達!」

叫ぶレイの方に、ゆっくりと僕は顔を向けた。

赤い瞳が、レイを射ぬく。


「ば、馬鹿な…あり得ない…」

思わず後退ったレイの足が、震えている。

一瞬にして、レイは悟った。

自分より、魔力が上だと。

「信じられん」

さらに後退るレイの後方に、いきなり、凄まじい力が落ちてきた。
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