天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ディグブレイド!全機!待機完了しました」

その数、百体。

「全機に、ポイント百万づつ送信!」

マリアの命令が、こだまする。


「それにしても…」

西園寺は、スクリーンに映るディグブレイドを見つめ、感嘆した。

「よく間に合ったな」

マリアは、灰皿にタバコをねじ込み、

「ブラックカードを、簡易化したからね」

苦笑した。

ディグブレイドの腕に輝く…金色のカード。

ゴールドカード。

「ディグのように、無限にポイントを使うことは、できないけど…こちらから、送信できるし、自主回収もできるわ」

マリアは満足気に頷き、

「装甲や、破壊力は、ディグに劣らない」

「百体か……」

正直、これだけで、魔界を攻略できるとは思えなかった。

通常のカードを持った数万の防衛軍の兵士も、いる。

ぞくぞくとと、集まる民間の戦士達。

前線に配置されたディグブレイドを見て、驚き…気味が悪く感じるものもいた。

「中に入っている者は、いつ決めたんだ?」

西園寺の質問に、マリアは椅子に座り、大きく背伸びした。

「適当です」

「適当?」

眉をひそめる西園寺に、マリアは頷いた。

「誰でも使えないと、兵器としては、あまりよくないから」

マリアは、タバコの下を床で叩きながら、内心…心が踊っていた。

そんなマリアに鼻を鳴らすと、西園寺は、指令室から出ていこうとする。


「司令代行どちらへ?」

わざとらしく引き止めるマリアを、西園寺はちらっと見ると、

「明日までには、戻る。もし戻らなくても…時間どおり作戦を開始してくれ」

「了解しました」

慇懃無礼にこたえるマリアを背にして、西園寺は指令室を出た。






「よく来られましたね」

西園寺は、闇の中へと案内されていた。

人として、ここまで来たのは、ティアナとクラーク、ジャスティンに次いで、四人目だった。



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