天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「馬鹿な…」

残りの力を振り絞り、立ち上がった轟の足元から、

死滅したはずの精霊の光が、滲み出てきた。

「サーシャ…何を考えているんだ…」

轟は思わず、光から顔を背けた。

「この光…人のみの力ではないな…」

魔神は、光が集まる場所を見つめた。

轟には、サーシャのことを心配することも、助けに行くことも出来なかった。

ブラックサイエンスの隊長として…せめて、一太刀浴びせなくてはならなかった。

槍を握る手に、汗が滲む。

魔神を睨み、轟は息を整え、槍の先を…魔神の心臓に向けて構えた。

「ククク…」

魔神は、楽しそうに笑った。

「人とは、面白い生き物だ。我等魔物に、無謀という言葉はない。かなわないと気付けば、逃げる。それは、生きるものの本能…。しかし!」

魔神の眼力…そして、言葉とともに発せられる気が、轟の髪を震わした。

だが、轟の呼吸は乱れない。

勝負は一瞬だ。

轟の全身の力を抜いた。

「人間は、負けるとわかっていても…時に、勇気を持って向かってくる。ククク…嫌いな生き物ではない」

轟は、そして…一気に前方へ、力を爆発させた。

「全ポイント還元」

轟の懐には、先程仲間から拾った5枚のカードがあった。
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