天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「今が好機!」

ハイエナの顔をした獣人達が、しやらかな肢体を動かしながら、群れをなして、

町を囲んでいた。

サバンナの泉のそばにある人の町。

防衛軍の命により、多くの戦士が、魔界の入り口に集結しており、

その為、数多くの町で、守りが手薄になっていた。

一応、何人か治安の為に、残っていたが…数百の獣人に囲まれては、どうしょうもない。

「勇者メロスは、いない」

「あいつに、何人の仲間がやられたことか!」

「皆殺しにしてやる!」

「帰って来てからの…あいつの絶望する顔が、楽しみだ」


五百メートル程の町は、銃を持った戦士が二人。剣士が三人。カードを持ち、攻撃魔法を使える住人が、五人。

圧倒的に、少なかった。

攻撃魔法を使えない住人は、皆家の中に隠れ、できるかぎりの結界を張っていた。

獣人達は、数の力を使って、全方位から一気に、攻めようと、包囲を狭めていく。

カードを見た狙撃手が、舌打ちした。

「三百近くいる…」

「絶望的だな」

ガトリング砲を、どこに向けようか…悩む戦士。

「一気に来るな…」

剣士の手が震えていた。




怯え、絶望を漂わせる空気に、獣人は雄叫びを上げた。


「さあ!皆殺しの時間だ」


一斉に、獣人は町に突入した。

鋭い牙を光らせ、迫る獣人に向けて、ガトリング砲をぶっぱなすが、

数匹は、倒れるが…お構い無しに、獣人の群れは、突っ込んでくる。

「駄目だ!やられる!」

戦士達の絶望の声が、響いた時、

戦士達の前に、空中から、1人の男が舞い降りた。

「なっ!」

まったく気配を感じさせず、現れた男が、獣人の群れの前に立ちはだかる。

その時、やっと…戦士達のカードが警告音を発した。

カードの表示を見た剣士が、絶句した。

「レベル……計測不可能!?」


「何だ?あいつは!」

獣人達が、男の姿を認めた。

そして、その男から、漂う魔力に………数百の獣人の動きが止まった。

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